KeyMediaの流儀
TOPでは、弊社の考え方だけをお伝えしました。このページでは、日々の運用で実際に使っている判断の道具を紹介します。
CASE 01 — 定期購入商材の一例
定期購入商材:継続からLTVを捉える。
定期購入商材では、初回購入の先にある継続・解約・返品が収益を左右します。ここでは初回売上を広告費で割った「表面ROAS」と、LTV(顧客生涯価値)から計算する「実質ROAS」を比較します。原価や手数料も含めて、媒体ごとの収益性を判断する例です。
初回売上だけでなく、継続・返品・原価・手数料まで含めて比較する試算例です。媒体の評価は、商材・対象者・事業フェーズなどの状況によって変わります。
数値は考え方を示す試算例です。横軸:ROAS(0〜500%)。前提と計算式は下記に記載。
試算の前提と媒体別データ
| 媒体 | 広告費 | 新規顧客 | 表面ROAS | 平均継続回数 | 実質ROAS |
|---|---|---|---|---|---|
| 検索広告 | 100万円 | 400人 | 120% | 3.2回 | 472% |
| SNS広告 | 100万円 | 600人 | 180% | 1.1回 | 262% |
| ディスプレイ広告 | 100万円 | 250人 | 75% | 2.8回 | 260% |
前提(仮): 初回3,000円、定期6,000円/回、返品率3%、粗利率70%、CRM・物流費1,500円/人、運用・制作費15万円/媒体。数値は考え方を示す試算例です。
この試算では、継続回数の違いによって媒体の評価が変わります。検索広告が常に優れているわけではありません。商材・対象者・訴求・事業フェーズ・継続率などの状況により、SNS広告やディスプレイ広告が上回る場合もあります。媒体を先に決めつけず、各事業の後工程データをもとに予算配分を見直します。
Measurement architecture
広告・顧客・収益をつなぎ、成果の理由を捉える。
データの接続関係を示す概念図です。
正しく比較するために、データの条件をそろえる。
- 01 接続
- データの利用条件を確認したうえで、広告からの訪問と成約を顧客IDなどで結びます。追跡できないデータがどの程度あるかも確認します。
- 02 整合
- 重複した申込やキャンセル、集計する日付の扱いを統一します。広告費と運用費を分け、売上から原価などを引いた粗利で採算を確認します。
- 03 比較
- 媒体と獲得月ごとに顧客を分け、同じ経過日数で収益を比較します。まだ結果が出ていない期間の予測値は、確定した実績と区別します。
Demand generation
潜在層への働きかけを、成約までの採算で考える。
潜在層とは、商品やサービスをまだ具体的に検討していない人たちです。記事や動画で課題や選び方を伝え、検討を始めたときに候補として思い出してもらう接点をつくります。すでに検索している人への広告と組み合わせることで、将来の顧客との関係も育てられます。
将来の顧客との接点を広げる
これから検討を始める人にも情報を届けます。新たに接点を持てた人数と、見込み客がどれだけ増えたかを確認します。
比較の基準を先に伝える
価格だけでなく、選び方や導入条件、期待できる価値を伝えます。理解を深めたうえでの成約につながっているか、キャンセルも含めて確認します。
獲得先を分散する
すでに購入を検討している人への広告だけに頼らず、集客の選択肢を増やします。費用が安いとは限らないため、成約までの支援費用も含めて比較します。
- 広告費100万円 ÷ 訪問単価200円5,000訪問課題理解のコンテンツ
- 見込み客化率 2%100件比較・検討に進む接点
- 見込み客からの成約率 20%20顧客観測期間180日以内の成約
数値は考え方を示す試算例です。顧客数は重複を除いています。1顧客あたりの粗利12万円は、180日間の売上から返品・原価・顧客対応などの費用を差し引いた金額です。
この条件では、180日粗利 ÷ 総費用は200%。同期間の粗利で回収するには10顧客が必要で、見込み客100件に対する成約率10%が損益分岐です。成約率が5%なら5顧客・粗利60万円となり、総費用120万円を回収できません。訪問単価だけでなく、育成後の成約率が採算を左右します。
上の施策で得られる粗利を、新規成約と継続分を合わせて追った試算例です。総費用120万円に対し、90日時点の粗利は180万円となり、費用の回収を確認できます。線は各時点の値を結んでいます。
潜在層への施策は、成約までに時間と費用がかかります。回収までの資金と必要な顧客数を見積もり、すぐに購入を検討している層への施策と予算を分けます。初月の申込件数だけで判断せず、評価する期間と継続・停止の基準を事前に決めます。
Incrementality
計上された成果と、広告が増やした成果を分ける。
広告で商品を知った人が、後日検索して購入することがあります。最後にクリックした広告だけでは、最初の接点の効果を捉えきれません。そこで、広告の配信対象と配信しない対照群を比較し、広告によって増えた成果(増分)を評価します。
対象者を無作為に10,000人ずつに分けた試算例です。対照群には広告を配信しません。棒の長さは成約件数(0〜300件)を示します。
数値は考え方を示す試算例です。50件の差が偶然ではないかを、統計的に確認します。結果のばらつきを示す信頼区間や、比較に必要な人数も踏まえて判断します。
配信前に、実験の判定条件を決める。
何を成果とするか、何人を対象に、どのくらいの期間で評価するかを先に決めます。地域ごとに比較する場合は、商圏や季節の違い、他地域への広告の影響も確認します。
獲得効率と、追加投資の効率を分ける。
これまでの獲得単価が良くても、予算を増やした分まで同じ効率で成果が出るとは限りません。追加費用に対して粗利がどれだけ増えたかを比較し、次の予算配分を決めます。
測定手法の参考:Google 広告「コンバージョン リフト測定について」。媒体の測定機能には利用条件があります。条件に応じて検証方法を選びます。
AI × Decision science
AIの役割を、分類・予測・検証に分ける。
AIは広告文の作成だけでなく、顧客の関心を整理し、改善案を見つけるためにも活用します。情報の整理には生成AI、将来の収益予測には統計・機械学習を利用。データの量と精度に合わせて手法を選び、結果を確かめながら運用します。
訴求の事実確認・個人情報の扱い・予算変更・公開判断
予測が当たることと、売上が増えることを分ける。
購入しそうな人の中には、広告がなくても購入する人がいます。予測だけで配信先を決めず、広告を配信しない比較対象(対照群)も設けて、広告によって増えた成果を確かめます。
生成AIに、集計の正しさを委ねない。
数値は計算手順を確認できる方法で集計し、生成AIは情報の整理や改善案の作成に使います。AIのモデルや指示を変えた場合も、同じデータで比較し、品質が向上したかを確認します。
評価・運用管理の参考:NIST AI Risk Management Framework。具体的な適用範囲は、利用できるデータと運用条件に合わせて設計します。
CASE 02 — 人材領域の一例
人材領域:応募から面接設定まで捉える。
もう一つの例が、人材領域です。人材紹介・人材派遣・求人メディアでは「応募」が入口で、面談設定・面接設定・入社が後工程です。弊社はこの領域で特に多くの運用実績があり、後工程のデータを広告運用へ戻して入口の設計を変え続けてきました。
- 01応募広告・LPとの一致
- 02面談設定連絡・意向の確認
- 03面接設定条件・求人の適合
- 04入社最終成果への接続
各段階のデータを、入口の配信設計へ戻す
| 指標 | 何を測るか | 運用への戻し方 |
|---|---|---|
| 応募率 | クリックから応募に至った割合 | 広告文とLPの一致度を検証し、期待値のずれをなくす |
| 面談設定率 | 応募から面談が設定された割合 | 連絡がつきやすい層・時間帯へ配信を寄せる |
| 面接設定率 | 面談から企業面接が設定された割合 | 紹介可能な条件・地域・資格に訴求を絞る |
| 入社率 | 面接から入社に至った割合 | 成果につながる訴求と媒体へ予算を集中する |
D2C・サブスクリプションをはじめ、後工程に数字がある事業であれば、同じ考え方で設計します。
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